鹿よおれの兄弟よ (世界傑作絵本シリーズ)
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これが大自然に暮らす者の世界観か! |
ときどき、今の生活を全て放り投げ、どこかへ出かけたくなるときがある。
見知らぬ大地で自然に囲まれ、生きるということを純粋に満喫できたらなあ
なんて想像するのだ。
しかし、現実的にそれは叶わないし、実現してもそれはそれで大変なことも解る。
そんな気分のときに、この本はちょうどよい刺激と安らぎをボクに与えてくれる。
シベリアの大自然を舞台に、一人の猟師の一日が描かれている。
一頭の鹿を狩るために、小舟をこいで森の奥へ奥へと川を上る。
途中、魚や鴨に出会ったり、幼少時の思い出を回想したりする。
音の表現が独特で、美しい絵と共に異国の澄んだ空気が伝わってくる。
プサル プサル は魚のはねる水の音で
パトフ パトフ は鴨のとびたつ羽音といった調子だ。
猟師は、やがて家族の血や肉となる鹿を、兄弟とまで言い切る。
都会に暮らすと忘れがちな、自然への畏敬と感謝の念を実感させてくれた作品だ。
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繋がる命と川の流れと |
樺太(サハリン)で幼少期を過ごされたという
児童文学の重鎮、神沢利子さんの作品です。
まず、絵が美しい。繊細で静謐。
背景は川と森
りりしい若い猟師と威厳のある大鹿
かわいらしい小鹿
長老の胸に抱かれる幼い日の若者
胸をはだけ、赤ちゃんに乳を含ませようとする
若者の最愛の妻
若者が身に付けている
複雑なふち飾りのついた衣装は
この妻が若者の無事を祈りながら
ひと針ひと針 心をこめて縫ったものなのだろう。
絵だけ見てもいろいろな思いが伝わってきます。
そして、詩のような文章は
命が皆、食べて食べられることで
つながってゆくということを
シンプルに伝えてくれる。
”おれは 鹿の肉を くう
それは おれの 血 あれの肉となる
だから おれは 鹿だ”
2004年上半期の私のイチオシです。
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祝:第53回小学館児童出版文化賞受賞 |
人物、自然、動物。全てをここまで完璧に表現できる画家は稀有でしょう。やや抑えた色使いの背景に、衣装や花など眼の覚めるような鮮やかな色彩が効果的に置かれています。
書店の棚から飛び出していたので偶然手に取ったというくらい、かなり大きな本です。時々、奇を衒っただけのような大判の絵本を見かけますが、この本には大変な説得力があります。画家は、初めから出来上がりの本の大きさなど意識していなかったのでは?
細かく丁寧な仕事が素人の私にも伝わってくる美しい本です。

